TTOCJapan’s blog

日本の近現代史・政治・経済・文化・芸術を縦横に論じ、時に音楽や写真、国際問題も交えて綴る、知的で批評性に富んだ長寿ブログ。

福島原発事故:「公表するな」圧力と隠蔽されたデータ:日本版ピューリッツァー賞に値する報道

週刊ポストの記事を引用し、福島原発事故における政府の情報隠蔽を厳しく追及する。SPEEDIの放射能拡散予測データが、原子力安全委員会や官邸からの「公表するな」という圧力によって住民に知らされず、その結果、飯舘村などの住民が不必要な被曝を強いられた「政治犯罪」であると主張。チェルノブイリ事故を隠蔽した旧ソビエト政府の行為と同一視し、真相の徹底解明を求める。

今回の週刊ポストの特集記事には日本版ピューリッツァー賞が与えらるべきだろう。
2011年05月06日
福島県に「公表するな」圧力
原子力安全委は本誌取材にこう答えた。

「原発からの放射性物質の放出量が掴めず、拡散の定量的予測ができなかった。むやみに混乱を生じさせることになると判断し公表を控えました。2枚だけは正確なデータだったので公表しました」
理由は本当にそれだけだろうか。

嘘の検証の前に、一番大事な「放射能被害」について触れなければならない。
3月23日に公表された試算図(40ページに掲載)を見ると、放射性物質が北西方向に拡散していることがわかる。当時、屋内退避区域となっていた30キロ圏の外側にも大きくせり出している。当初から区域外なのに放射線量が高かった飯舘村などがすっぽり覆われており、「定
量的」ではなくとも予測はかなり正確だったことがわかる。

それだけに罪は重い。このシステムを正しく運用していれば、飯舘村などの住民を速やかに避難させ、被曝を防げたからである。枝野幸男・官房長官らはそれら地域に対し、ずっと「安全だ」と言い続け、それからも長く放射線量が下がらないと、ついに4月11日になって、同町などを「計画的避難区域」という法律にも定めのない適当な名をつけて〝やっぱり避難して″と方向転換した。住民たちの1か月間の被曝は、明らかに「政治犯罪」により引き起こされたものだ。

嘘の検証に移る。
原子力安全委は、まるで「2枚以外の予測は意味がなかった」といいたげだが、そんなことはない。

原子力安全委の専門委員を務めた経験を持つ武田邦彦・中部大学総合工学研究所教授が指摘する。

「確かにSPEED1では放射性物質の量がわからないと飛散『量』の予測はできない。ただし、どの地域に多く飛散するか、どの地域のリスクが高いかという相対的な予測は可能です。政府は12日段階で半径20キロ圏内に避難指示を出したがSPEED1の予測を踏まえていれば、その圏外でもリスクの高い地域に警戒を呼びかけることができたと考えられます」

事実、放射性物質は北西に吹く海風に乗り、地元で古くから「風の道」と呼ばれてきた室原川沿いを遡って飯舘村に降り注いだ。同村でモニタリングが始まった3月18日時点でも、毎時30マイクロシーベルトという高い数値が検出されていたのである。

東電は地震発生翌日の12日に1号機と3号機で炉内の圧力を下げるために放射能を帯びた水蒸気などを建屋外に放出する「ベント」に踏み切り、13日には2号機でも実施。さらに、15日にはフィルターを通さない緊急措置である「ドライベント」も行なった。この夕
イミングで大量の放射性物質が飛散したことは間違いない。それはモニタリングのデータもはっきり示している(50ページ参照)。

だが、枝野官房長官は1号機のベント後に、「放出はただちに健康に影響を及ぼすものではない」(12日)と発言し、20キロ圏のみの避難指示を変更しなかった。センターの証言によれば、枝野氏はSPEED1のデータを知っていたはずだ。

SPEED1を担当する文科省科学技術・学術政策局内部から重大証言を得た。

「官邸幹部から、SPEED1情報は公表するなと命じられていた。さらに、2号機でベントが行なわれた翌日(16日)には、官邸の指示でSPEED1の担当が文科省から内閣府の原子力安全委に移された」

*ヘリコプター帰還命令事件をアエラは報道した訳ですが、この後の、東電・清水社長の入院と文脈は同じだと私は考える。

名指しされた官邸幹部は「そうした事実はない」と大慌てで否定したが、政府が〝口止め″した疑いは強い。なぜなら関連自治体も同様に証言するからだ。

システム通り、福島県庁にISPEED1の試算図は当初から送られていたが、県は周辺市町村や県民に警報を出していない。その理由を福島県災害対策本部原子力班はこう説明した。

「原子力安全委が公表するかどうか判断するので、県が勝手に公表してはならないと釘を刺されました」

福島県は、玄葉光一郎・国家戦略相や渡部恒三・民主党最高顧問という菅政権幹部の地元だ。玄葉氏は原子力行政を推進する立場の科学技術政策担当相を兼務しており、渡部氏は自民党時代に福島への原発誘致に関わった政治家である。

この経緯は、国会で徹底的に解明されなければならない。「政府が情報を隠して国民を被曝させた」とすれば、チェルノブイリ事故を隠して大量の被曝者を出した旧ソビエト政府と全く同じ歴史的大罪である。

しかも、その後も「安全だ」と言い続けた経緯を考えると、その動機は「政府の初動ミスを隠すため」だったと考えるのが妥当だろう。

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