それが米国の法律によって凍結、没収される危険性が生じると、共産党幹部集団にとって死活問題となる。  

以下は今日の産経新聞に掲載された石平さんの定期連載コラムからである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読である。

自民党総裁選についての産経新聞の報道は読めたものではない。
今、日本に必要な首相は高市早苗を措いて他にはいないのは、幼稚園児レベルでも分かる問題である。
ところが、産経新聞は、どういう了見か知らぬが、もはや捏造報道と言っても過言ではない程に、小泉や石破を推す報道を繰り返している。
最初に、その報道を見た時、もはや、これまでと購読を止めようかと思ったのだが。
スポーツ欄のチェックが不便になる事と、石平さんや、櫻井よしこさんの定期連載コラムが読めなくなる事等の理由からペンディングしている。

米「台湾紛争抑止法」の衝撃
今月9日、米議会下院は、台湾紛争抑止法案を全会一致で可決した。
中国が台湾へ侵攻した際、中国高官が世界中に持つ不正資産の公開や本人とその家族による米金融システムヘのアクセス遮断、資産凍結などができる制裁措置が盛り込まれている。 
法案の目的について、共同提出者の一人、フレンチ・ヒル下院議員はこう語った。 
「法案は中国共産党に次のことを知らせようとしている。台湾を危険にさらし出したら、彼らの財産状況が中国公衆の知るところとなり、彼らと親族は厳しい金融制裁を受けるであろう」と。
つまり、この法案が成立すれば、中国共産党政権が台湾侵攻に踏み切った場合、中共幹部とその親族たちの米国での隠し資産が白日のもとにさらされるだけでなく、制裁の対象となり凍結、没収される可能性もある。
これをもって中共政権の台湾侵攻を阻止するのが法案の狙いで、中共政権に対する威力のある「戦争阻止法案」となろう。 
中共政権を支える高官たちの大半(あるいはほとんど)が米国に隠し資産を持っていることは「公然の秘密」である。
それが米国の法律によって凍結、没収される危険性が生じると、共産党幹部集団にとって死活問題となる。  
2021年、中国の謝鋒外務次官(当時)は天津でシャーマン米国務副長官(同)と会談し、「やめてほしいことのリスト」を米国側に手渡したことが明らかになっている。
リストの筆頭にあったのが「中国共産党員と親族に対する入国ビザの制限」だ。  
つまり、中共の幹部たちは米国に「虎の子」の財産を持ち、彼らと親族の米国入国に対する制限が政権全体にとっての大問題となるため、「やめてほしいこと」のリストの筆頭に挙げたわけだ。
このことは逆に、中国共産党政権の″アキレス腱”がどこにあるのかを暴露している。
この「台湾紛争抑止法」が成立した暁には、軍幹部を含めた中国共産党政権の高官たちは自分の財産を守るために習主席がたくらむ「台湾併合戦争」を内部から妨害し、阻止しなければならなくなる。
それがまさしく「法案」の狙うところであろう。 
そうなれば、習主席と政権がたくらむ台湾侵攻は以前より難しくなる。
台湾併合戦争を強行すれば、軍幹部を含めた共産党政権の幹部集団のほぼ全員を敵に回してしまうし、さまざまな形での妨害を受けることが予想される。
極端な場合、幹部たちの集団的反乱を招く可能性もあり、習主席にしても決意が鈍ってくるのではないか。 
法案可決直後の13日、北京で開かれた安全保障分野の国際会議「香山フォーラム」で、中国側の発言に重要な変化が生じている。
董軍国防相が行った基調演説の中で各国との「相互尊重」や「平和共存」を強調する一方、「台湾」について一言も触れなかったのだ。
それは、昨年の同フォーラムの際、中国軍制服組トップの張又侠氏が同じ基調演説で「台湾を中国から引き雕すことを中国軍は絶対に許さない」と、大変強い口調で「台湾併合」への決意を表明したのと対照的だ。  
一方、台湾側は法案の可決を大変歓迎している。  
台湾外交部(外務省)の林佳龍部長(外相)は10日、「このような法律により、われわれは中国共産党の拡大をより明確に阻止し、インド太平洋地域の平和、特に台湾海峡の安定と安全を守ることが’できる」と、台湾防衛への自信を深めている。 
この法案の法律化を含めて、いかにして台湾有事を未然に防ぐのか。 
それが、国際社会にとっての重要課題であり、日本としても、「日本版の台湾紛争抑止法」の制定を考えるべきであろう。

 


2024/9/26 in Umeda