知事自身がとうとう、沖縄独立をも視野に入れた最も過激な反基地活動家と一体化したことを宣言するに等しい。名実ともに一線を越えたのだ。

中国や朝鮮半島の手先である事を、この先住民族という用語を使用した事で満天下に示した
2020年10月21日

以下は前章の続きである。
文中強調は私。
演説で私が最も違和感を抱いたのは、「自己決定権」という言葉だった。
これは沖縄の反基地活動家やマスコミが「沖縄には独立する権利がある」という文脈で盛んに使う言葉である。
それを知事自身の口から明確に聞いたのは初めてだった。

知事はかねがね、普天間飛行場辺野古移設を、反基地活動家やマスコミにならって「辺野古新基地建設」と呼んでいる。
県民にとって移設は負担軽減だが、新基地建設は負担増を意味するから、これは印象操作の意図を伴った捏造語だ。
今回の演説には「辺野古新基地建設」に加え「自己決定権」というキーワードまで盛り込まれた。
知事自身がとうとう、沖縄独立をも視野に入れた最も過激な反基地活動家と一体化したことを宣言するに等しい。

名実ともに一線を越えたのだ。

さらに日本の自由、平等、人権、民主主義を否定した発言は、自国に対する侮辱であり、日本人として許し難かった。
国連を利用した反日活動ではないか。


知事が演説する直前まで、人権理事会ではシリアや北朝鮮などの人権問題が議論されていた。
日本はそうした国々とはまるで違う。

翁長氏は日本に人権や民主主義が存在するからこそ、知事として国連で発言できたのだ。
中国の行政組織のトップが国連で北京政府を批判できるだろうか。


軽々に日本の「人権」「民主主義」を否定する姿は、なんとも愚かに思えた。

演説のため知事が会場に入ると、日本から追いかけてきた20人近いマスコミ関係者がどっと知事を取り囲み、テレビカメラが列をなした。
マスコミの取材は国連内の秩序を乱すような勢いだったらしく、警備員が慌てて駆け寄ってきて「あっちへ行け」と怒鳴りつけた。
真正面で罵声を浴びたのが私だった。

「沖縄先住民論=独立志向」の濃いシンポに出席

知事の国連演説を支援したNGOなどは演説に先立ち、国連ビル内で「沖縄の軍事化と人権侵害」をテーマにしたシンポジウムを開き、知事も出席した。
知事は沖縄の歴史を語り始めた。
「沖縄は独立国として、営々とやって来た。日本の一部になったあと、独自の言語を禁止されたが、より良い日本人になろうと一生懸命、日本語を勉強した。沖縄戦では10万人以上の県民が死亡し(日本軍からも)独自の言語を使っているためにスパイ扱いされたりした」
沖縄がかつて独立国であり、沖縄方言ならぬ「独自の言語」を持っていた、とことさらに強調する知事の姿には呆れる思いだった。

他の都道府県とは違い、沖縄人はもともと日本人ではなかったから、日本政府の安全保障政策に抵抗し、基地問題辺野古移設反対の「自己決定権」を行使できると言いたいのだろう。
しかし国連の場で知事たる者が口にするには、あまりに幼稚な理論と言うはかない。

知事は発言をこう締めくくった。
「人類の英知の限界なのか。日米両国の民主主義がどうなっているのか見て、基地問題の真犯人は誰か、世界中で謎解きをしてほしい」
「人類の英知」など持ち出すまでもない。
基地問題の起源を問えばきりがないが、現状では、沖縄への領土的野心を隠さない隣の軍事大国・中国の存在こそ、基地問題の「真犯人」だ。

知事が本当に基地を撤去または削減したいなら、中国に対し、尖閣周辺での挑発行為をやめるよう国連で訴えるべきだった。

事実、尖閣を抱える石垣市議会は、知事の訪欧直前、国連演説で尖閣問題に言及するよう求める意見書を決議した。
しかし、知事は市議会の要望を見事なまでに無視した。


シンポでは、NGO代表の上村氏が言葉を継ぎ、またもや沖縄の歴史から発言を始めた。
「日本は琉球に軍隊を派遣して首里城を包囲し、琉球王国を廃止して沖縄県を設置した。ウィーン条約に明確に違反している」
日本による琉球「併合」は国際法違反だという論理である。 
さらに第二次大戦後、沖縄が米国の施政権下に置かれた経緯について「米国、日本とも琉球は植民地と認定しているから、国連の信託統治にすると、将来は独立させないといけない。だから日米が談合して支配した」と独自の主張を展開。
「自己決定権を明確に主張できる『先住民族』の枠組みの中で、改めて日本政府の責任を考えてほしい」と、沖縄人を先住民族に認定するよう明確に要求した。

*この上村英明は中国や朝鮮半島の手先である事を、この先住民族という用語を使用している事で満天下に示したのである。
沖縄県民が至極当然に全くの日本人である事を、東大等の研究員達が、日本人のDNAを解明して実証してくれた事を高山正之は教えてくれている。
沖縄県民のDNAは全く日本人と同一で、中国人や朝鮮人のDNAは、これっぽちも入っていなかったのである*

翁長知事は上村氏の発言を無表情に聞いていた。
国連で先住民族の権利を擁護する活動をしているフィリピン人のビクトリア・タウリ=コープス氏も「県民が先住民族と認識されれば、先住民族の権利に関する国連宣言に入っているすべての権利を主張できる」と激励した。

沖縄では、翁長知事の国連行きが決まって以降、「知事は県民が先住民族だと主張し、先住民族の権利として基地撤去を主張するのではないか」という懸念が噴出。
自民党沖縄県連は知事の訪欧直前、演説で先住民族という言葉を使わないよう、わざわざ翁長知事に要請した。

確かに知事の演説には「先住民族」という言葉はなかった。
しかし知事は発言者としてこのシンポジウムに出席し、反論もせず聞き入っていたのである。
知事も同じ考えであると受け止められても仕方ないだろう。
知事が演説ではあえて触れなかったことを、知事を支援するNGO関係者らが口にしたとも言うこともできる。
国連でシンポや知事演説を聞いた砥板芳行・石垣市議は「先住民族や植民地支配という言葉に県民として違和感がある。知事や彼を担いだグループやマスコミは、これまでにない方向に沖縄を導こうとしている」と憤りの表情を浮かべた。
この稿続く。

以下は前章の続きである。
我那覇真子さんの「重い一撃」
翁長知事の国連演説が決まったころから、沖縄県民の中でも「知事の誤った発信を放置すべきでない」という危機感が高まった。
そこで、普天間飛行場の移設先である名護市民の我那覇真子さん(26)が同じ人権理事会で知事に反論する演説を行う準備を極秘裏に進めた。

砥板市議ら、我那覇さんをサポートする関係者が我那覇さんを団長とする国連派遣団を結成。
翁長知事と同様、NGOの発言枠を譲り受け、我那覇さんの演説は知事演説の翌日に実現した。

「私は沖縄生まれの沖縄育ちだが、日本の一部として私たちは世界最高水準の人権と質の高い教育、福祉、医療、生活を享受している」
「知事は無責任にも日本とアジア太平洋地域の安全保障におけるアメリカ軍基地の役割を無視している。中国が東シナ海南シナ海で見せている深刻な挑戦行為を知事と国連の皆さんが認識をすることが重要だ」

知事の演説直後には、ジュネーブ国際機関政府代表部の嘉治美佐子大使が「日本の国家安全保障は最優先の課題だ。辺野古移設計画は合法的に進められている」と反論。
那覇さんの演説は、日本政府ととともに、知事演説をいわば挟み撃らで打ち消した格好になった。

国連での活動経験があり、派遣団通訳を務めたテキサス親父日本事務局長の藤木俊一氏は「国連では、演説に対し反論があれば、どちらが真実であるか調査して結論を出すことになっている」と指摘。
那覇さんの演説が実現したことで、翁長知事の言い分かそのまま通ることはなくなったとの見方を示した。

演説を終えた我那覇さんらが国連ビルを出る時、国連職員だという男性とすれ違い、言葉を交わす機会があった。
男性は我那覇さんが沖縄から来たことを知ると、知事演説について「あんなに大勢の記者が集まったのは初めて見た。知事の話はおかしいね。納得できなかった」と率直な印象を口にした。

那覇さんは「知事の一方的で誤ったメッセージのために、国連で政府に対し何らかの勧告が出ることを、一番懸念していた。国連に来た一番の目的が達成されたと思う」と安堵の表情を浮かべた。
この稿続く。
 
2023/12/17 in Kyoto