「安保闘争」から「反差別闘争」へ…現在、日本の世論は反日マイノリティーによって作られていく仕組みになっている

以下は前章の続きである。
安保闘争」から「反差別闘争」へ
さて、ここで私達が気が付かなければならないのは、沖縄の米軍基地撤去運動は、かつての安保闘争とは全く異なるものになっているということだ。
意外なことかもしれないが、知事時代の翁長氏は日米同盟に賛成していた。事実彼は、「私は日米安保体制を十二分に理解している」と発言し、オスプレイ配備に反対する理由を「墜落事故が起きると日米同盟に亀裂が入るから」と説明していたのである。
つまり、辺野古移設に反対する「オール沖縄」が、日米同盟賛成論者の翁長氏を反米運動のリーダーとして担ぐという奇策に出たということだ。
その理由として考えられるのが「日米安保反対」では多数派形成が無理だと判断したことである。
そこで、多数派形成の軸を辺野古移設阻止とオスプレイ配備反対の二点に絞り、それを争点に国連を利用した「反差別闘争」により、米軍基地の全面撤去を狙う方針に切り替えたのである。
このころから新聞・テレビで「差別」という言葉が多用され始め、「0.6%の国土面積に7割の米軍基地を押し付けている」という被差別意識を煽るような報道が増え始めた。
その結果「私は日米安保賛成だけれども、沖縄に米軍基地の7割を押し付ける差別は許せない」と扇動される沖縄県民も増えたのである。
つまり、沖縄の米軍基地撤去運動は、かつての「安保闘争」から、国連を利用した「反差別闘争」ヘシフトしているのだ。
現に、8月29日、立憲民主党沖縄県連設立を受けて、那覇市内で記者会見を行った枝野幸男氏は「辺野古に基地を作らせない」「普天間の返還をさせる」に合わせて「日米安全保障体制を堅持」を方針として掲げたのだ。
最早、沖縄の基地撤去運動への対抗策は日米同盟の重要性を啓蒙するだけでは、無意味な状況になっているのだ。
その闘争は、極めて巧みに沖縄の歴史を利用して県民の感情や沖縄の空気を日本から切り離そうとしている。 
琉球人」もヘイトスピーチの対象へ
反差別闘争の最大の武器が「反ヘイトスピーチ」だ。
平成28年に、自民党が提出したヘイトスピーチ解消法(略称)が制定されている。
これは、理念法であり罰則規定は無いのだが、警察庁は通達を出し、ヘイトスピーチと認められる違法行為に対して厳正に処する姿勢を示している。
悪質な侮辱発言を取り締まることに問題は無いが、この法律の正式名称が「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」であるように、日本人からマイノリティーに対する差別言動に対して適用され、マイノリティーの日本人に対する差別言動には適用されないことが問題だ。
マイノリティーの発言が保証され、マジョリティーはそれに対して反論もままならないのだ。
現在、日本の世論は反日マイノリティーによって作られていく仕組みになっていると言っても過言ではない。
前述した立憲民主党沖縄県連では、県連会長に反ヘイトスピーチ運動の先頭を走ってきた参議院議員有田芳生氏が就任したが、彼は、糸数慶子氏がジュネーブの国連人種差別撤廃委員会に参加した際も会場では常に隣りに座っていた。
この二人は、反ヘイトスピーチ運動と沖縄の米軍基地問題と一見異なる領域で活動しているように見えるが、「反差別闘争」という日本解体運動を共に戦う同志なのだ。
有田氏を県連会長に送り込んだ立憲民主党の狙いは、国連の勧告を錦の御旗にして、沖縄発の反基地運動、独立運動に対して、全ての批判をヘイトスピーチとして阻止するためではないだろうか?
それを許してしまうと、「沖縄県民は日本人ですから独立なんて馬鹿なことはいわないでください」という発言も「琉球人の尊厳を踏みにじった!ヘイトだ!」とされてしまうことになる。
沖縄の反日反米闘争批判の言葉狩りが始まるのだ。
このように、反差別闘争とはマイノリティーの力を最大化し、マジョリティー(日本人)の発言を封印する日本解体闘争に他ならない。