オール沖縄の真意は…沖縄が政府から差別を受けていると国際発信する火種をつくることにあるのだ。

以下は前章の続きである。
全ての活動は「琉球人差別」の火種をつくるため
その背景を8月17日付の琉球新報が次のように報道している。 
《「糸数氏 基地問題は差別 国連対日審査で訴え」 
国連人種差別撤廃委員会の対日審査が16日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で始まった。
審査に先立ち、沖縄から糸数慶子参院議員がスピーチした。
糸数氏は沖縄の人々に対する差別の事例として、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をはじめとする基地問題をあげた。
日本政府に差別的な政策をやめさせ、先住民族としての権利を守らせるよう訴えた。(以下省略)》 
糸数氏は、これまで何度もジュネーブやニューヨークに足を運んで国連の人権関係の委員会に参加し、同様の発言を繰り返し、沖縄の基地問題を国際的な人種差別問題にエスカレートさせてきた。
そのため、沖縄県民を先住民族と断定した勧告は、2008年の自由権規約委員会以来5回にものぼるのだ。
沖縄県民が全く望まないのに、国連で先住民族と認識されるからくりについては既に『正論』2015年10月号にて述べたのでご参照いただきたい。 
人種差別撤廃委員会の対日審査は、日本政府やNGOから提出された報告書を参考にして審査が行われる。
今回の審査で沖縄県民を先住民族だとする報告書を作成したのは、沖縄国際人権法研究会(島袋純、星野英一共同代表)と琉球弧の先住民族会(当真嗣清代表代行)の二団体だ。
前者の共同代表の一人の島袋純氏は、翁長雄志知事が国連人権理事会でスピーチを行った時、オール沖縄の国連部長という役職で、その実現を担った人物だ。
つまり同研究会は、「イデオロギーではなくアイデンティテイー」をスローガンに故翁長氏を担いで、辺野古移設阻止を戦い続けてきたオール沖縄の国連担当部署なのだ。
それが分かれば、理解不能で疑問だらけのオール沖縄の動きも氷解する。
最大の疑問は、辺野古埋め立て承認撤回である。
関係者の間では裁判闘争になった場合勝ち目が無く、個人賠償を請求される可能性もあると言われている。
それでも、オール沖縄内部の撤回要求は強く、新しい知事の当選を待つこと無く、副知事の代行により撤回してしまった。 
このように敗訴覚悟で無謀な戦いを選ぶオール沖縄の真意は、沖縄と日本政府の対立構図を構築し、沖縄が政府から差別を受けていると国際発信する火種をつくることにあるのだ。
本気で辺野古移設の阻止を考えているとは思えない。
逆に辺野古移設の工事が行われている限り、新たな火種を作り続けることができ好都合なのだ。
そして、敗訴した際には「承認撤回を求めた琉球人の民族の自決権は日本の法廷でも無視された」と国連に訴え、国連が認めている「先住民族の土地の権利を保護しなければならない」というルールにより米軍基地撤去の国際世論をつくることが目的なのだろう。
もう一つは、辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票だ。
9月6日「『辺野古』県民投票の会」(元山仁士郎代表)が、実施を求め署名9万2848筆を集め、条例制定を沖縄県に請求した。
県は、20日以内に県議会を招集し、条例案を提案。
条例案通りに可決した場合、公布後六ヵ月以内に投票を実施する。
この県民投票は、県知事選挙に次ぐ「琉球人」VS「日本政府」の対立構図をつくる最大の政治イベントだ。
特に質問内容に「自己決定権」という単語が入った場合は、事実上の琉球独立宣言になるので要注意だ。
このように、オール沖縄の全ての活動は「琉球人差別」の火種をつくり、国連に報告するためなのだ。 
この稿続く。