罪深きは国連…沖縄「先住民族」という神話

人種差別撤廃委員会のウソ…日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告した
2018年10月05日
以下は月刊誌正論今月号の、特集人種差別撤廃委員会のウソ、に、罪深きは国連…沖縄「先住民族」という神話、と題して掲載されたジャーナリスト仲村覚氏の労作からである。

今年8月31日の琉球新報の一面に「国連、沖縄保護を勧告 基地集中は人種差別」というタイトルで次の記事が掲載されていた。 
(国連人種差別撤廃委員会は30日、対日審査の総括所見を発表した。日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告した。米軍基地に起因する米軍機事故や女性に対する暴力について「沖縄の人々が直面している課題」と懸念を示した。その上で「女性を含む沖縄の人々の安全を守る対策を取る」「加害者が適切に告発、訴追されることを保証する」ことなどを求めた。同委員会が勧告で、差別の根拠として米軍基地問題を挙げたのは2010年以来。(以下省略))
琉球新報の一面に掲載されたこの記事を読んで、理解できた沖縄の人はほとんどいないだろう。
記事の内容は米軍基地問題が小さく見えるほどの大問題で、沖縄県民がもし理解したなら大騒動が起きるはずだからだ。
本来、日本人として生きてきた県民にとっては、このニュースは自らのアイデンティテイーを揺るがす大事件なのだ。
実は沖縄の人々が「先住民族」とされたのは今回が初めてではない。
それについては後述するが、二年前の四月末、沖縄県選出の衆議院議員だった宮崎政久氏が、国会質疑で国連先住民族勧告の撤回を政府に要請したことがあった。
質問を受けた木原外務副大臣は撤回を働きかける旨の答弁をし、翌日の産経新聞がそれを報道した。
沖縄・宮古島の地元紙、宮古毎日新聞の編集者がその新聞報道を見て、国連が出した沖縄県民を先住民族として保護するべきとの勧告を初めて知って驚き、2016年4月30日のコラムに次のような文章を掲載した。
沖縄県民であるわれわれの知らない遥か彼方の国連人種差別撤廃委員会がわれわれ沖縄県民を先住民族ときめつけた理由がわからない。理不尽な見解だと言わざるをえない。(中略)県民は先住民族だということになれば、日本国の法律、政治、制度が適用されず、一般国民とは異なる政治、経済、教育、その他の制度で差別されているばかりか人権状況も悪い、ということになる。自民議員でなくても猛反発する。)
これが、偽らざる普通の沖縄県民の先住民族勧告に対する感じ方だろう。
つまり「沖縄県民が先住民族だとすれば、日本社会においてわれわれ沖縄県民は『琉球人』だという理由で、政治、経済、教育、様々な制度や生活において差別的不利益を被っているということになる。しかし、そんな馬鹿な事実は無い」ということだ。
冒頭で紹介した勧告に先立ち、8月16日と17日の2日間、スイスのジュネーブで国連人種差別撤廃委員会で対日審査が行われ、17日に各委員が日本政府へ質問した。
翌18日に、日本政府代表の大鷹正人国連大使がそれらの質問に回答し、沖縄については次のように述べた。
「まず、先住民ということについての御指摘がございましたけれども、沖縄に居住する日本国民も沖縄県出身の日本国民の方々もひとしく日本国民であり、日本国民としての権利を全てひとしく保障されております」
政府の回答は至極常識的な回答であり、宮古毎日新聞のコラムと一致する。続いて大鷹国連大使は、在沖米軍基地については次のように発言した。
「昨日は米軍の事故による被害者に関する話がありましたので一言触れますと、学校や住宅に囲まれている、市街地の中央に位置する普天間飛行場がございますが、その機能の一部を辺野古に移設させる政府の取組が進められております。今まさに進行中です。これはまさに、抑止力を維持しつつ、普天間飛行場の危険性を一刻も早く除去するための唯一の解決策として政府は取り組んでいる次第でございます」
政府の反論のとおり、沖縄の米軍基地は、沖縄の人々が先住民族だから沖縄に集中しているわけではない。
大東亜戦争の末期、米軍が沖縄を日本本土上陸作戦の出撃基地にするために上陸して巨大な基地を建設し、戦後は大陸の共産主義国家に睨みを利かす太平洋の要石として、軍事的重要拠点だったのだ。
現在は軍事的覇権を急拡大する中国への備えとして、先島への自衛隊も増強配備している。
軍事的要所へ備えをするのは日本の主権国家としての権利であり、それに口出しするのは内政干渉である。
しかし、それを無視して先住民族勧告が出るように動いた人物が沖縄にいたのだ。
この稿続く。