そんな即席の英語教師でも外国人なら有り難がる日本の教育風土にはうんざりだが、それは措く。

2023年05月25日

以下は本日発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであることを証明している。
随分前に、世界中のプリマから大変な尊敬を受けているモナコ王立バレエ学校の老女性教授が来日した。
その時に彼女が芸術家の存在意義について語った言葉である。
『芸術家が大事な存在なのは、隠された、隠れた真実に光を当てて、それを表現する事が出来る唯一の存在だからです。』
彼女の言葉に異議を唱えるものはいないだろう。
高山正之は戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであるだけではなく、戦後の世界で唯一無二の芸術家と言っても全く過言ではない。
一方、大江…彼については、故人を悪くは言いたくないが(下記の高山正之に倣って言えば)村上等、作家と称する人間達、自分達を芸術家だと思いこんでいる人間達の多くは、芸術家の名にも値しない存在なのである。
何故なら、彼らは、隠された、隠れた真実に光を当てて、それを表現する、どころか、朝日新聞等が作り出した嘘を表現して来ただけの人間達だからである。
彼らの様な存在は、日本に限らず、世界中の国においても同様なはずである。
つまり、真の芸術家とは、極少数しか存在していないのである。
私が、今の世界で、最もノーベル文学賞に相応しいのは、高山正之を措いて他にはいない、と言及している事の正しさを、本論文も見事に証明している。
日本国民のみならず世界中の人達が必読。

維新の威信
闇サイトで人を集めて資産家を襲わせる。 
そんな指令の出どころがマニラの出入国管理施設と聞いて大いに驚いた。 
施設と言っても国外追放を待つ犯罪人を収監する立派な「監獄」だ。 
そんなところでもカネさえ出せば夜な夜な繁華街に遊びに出られる。
飲んで遊んで、ただ最後は必ず監獄に戻らねばならない。 
日本の新聞がその豊かな自由に吃驚したら、韓国派の文化人、青木理が「他国の入管施設を難じる資格があるのか」と妙な逆捩じを食わせてきた。 
入管施設にいたウイシュマ・サンダマリが望んだ仮放免、つまり医療施設への入院が認められないまま死んだ。
その不祥事を言いたいらしい。 
ただそれはどうか。
なるほどフィリピンの入管施設は実に自由だ。
カネがあれば何でもできる。
強制送還すら誰かに訴訟を起こさせて延期できる。 
しかしそれ以上の自由を与えている国があることを青木は失念している。
それが実は日本なのだ。 
日本はカネもかけずに強削送還を免れ、娑婆にだってただで出られる。 
どれほど気儘か。
青木が指摘したウィシュマを例に取ってみよう。 
彼女は、国連特別報告者の名で日本を貶めたクマラスワミと同じスリランカ出身のシンハラ人だ。 
29歳の春、日本に語学研修にやってきた。
語学を学んで日本の中学の英語教師になるつもりだった。  
そんな即席の英語教師でも外国人なら有り難がる日本の教育風土にはうんざりだが、それは措く。 
かくてウィシュマの語学研修が始まったが、半月もしないうちに同郷の男と同棲して、学校にも出てこなくなった。 
半年欠席すれば留学ピザは失効し、不法滞在になる。
心配して連絡をとる学校をうざいと思ったか、ウィシュマは男と出奔する。 
ニューヨーク・タイムズも興味を持った。  
以下同紙によると行方を絶って2年、彼女は静岡県警に「同棲男に殺される。国に帰りたい」と保護を求めてきた。 
ただ所持金はない。
家族も知らんふり。
日本政府の負担で国に送還してほしい。
それで名古屋の入管施設に入れられるが、人権屋接触してきてからおかしなことが始まった。 
まず帰国していた男から彼女宛ての手紙が届く。 
誰が彼女の所在地を教えたかは不明だが、内容は彼女が帰ってきたら今度こそ殺すという脅しだった。 
彼女は慄(おのの)く。
帰りたくないと言いだし、人権屋の世話で難民申請が出された。 
「宗教や政治信条の違いで迫害され卷恐れがある」とき、日本政府は難民として受け入れる。 
彼女も同じ。
帰国すれば迫害が待っている。
立派な難民というわけだ。 
馬鹿な申請が退けられると彼女は急に病気になる。 
食事も摂らず、痩せ衰えて入院治療のための仮放免を求めた。
同じような理由で「もう6000人が放免されている」ことを誰かが教えたのだろう。 
外に出れば自由だ。
仮放免で出た者の10%599人が逃亡し、361人が殺人などで捕まった以外みな外で送還される心配もなく暮らしている。 
現行の入管法では送還されそうになったら難民申請を出せば何回でも引き延ばせる。
フィリピンよりはるかに楽で安い。 
ウィシュマの場合、その申請中に不幸にも拒食のせいで死んでしまった。 
この事件について維新の梅村みずほ参院議員が「支援者の一言が『病気になれば仮釈放される』という淡い期待を抱かせ、詐病に繋がったのでは」と指摘した。 
日本の法を嘲る不法滞在者、それを助長する人権屋のいびつな人権意識を見事に抉(えぐ)った質問だった。 
ところが正面から糺(ただ)された人権屋が抗議し、まだ日本に居続ける彼女の妹も「姉の尊厳を傷つけた」と怒る。 
その他野党も梅村発言を糾弾する。
維新が先の選挙で伸びた理由はこの辺の知的レベルの差にあったかもしれない。