野村秋介は最後に朝日新聞社長の中江利忠に抗議に行った。中江は植村隆と吉見義明の嘘を書かせ、日本を貶めた張本人だ。 

以下は2020/12/31に出版された、高山正之の著作「中国と韓国は息を吐くように嘘をつく」の、前書き、からである。
本論文も、彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであることを証明している。
文中強調は私。

まえがき 
北朝鮮が初めてミサイルを撃ったとき、日本側は初めて懲罰めいた措置をとった。
新潟港に入っていた万景峰号の入港禁止措置だ。 
これは痛手だ。
この船は日本に覚醒剤と偽ドルを持ち込み帰るときは、パチンコマネーからミサイルや核開発に必要な電子機器、京大の先生ら原子力の頭脳も運び出してきた。 
一便欠航でも数十億円のロスになる。
それが「もう二度と来るな」だ。
朝総連はびっくりだった。 
で、何が起きたか。
こういう騒動が起きるとなぜか即座に「朝総連新潟本部に銃弾入りの脅迫の手紙が送りつけられた」(朝日新聞)とかの騒動が起きる。
北の横暴に怒った右翼が脅しをかけた、銃弾を送り付け、本気度を見せたと朝日が解説する。 
日本政府の制裁は銃弾を送り付ける短絡右翼と変わらない。
大人の判断をすべきだと分別ぶった論評も加える。
テレビの知恵のないコメンテーターも朝日の解説を参考に「極右と同しでいいのか」とやる。

でも少し冷静に考えれば、短絡右翼、つまり余り知恵のない輩がなぜ「総連新潟本部に手紙」なのか。
知恵のある人でもそんなオフィスの存在も、まして宛先の名称も知らない。
短絡右翼はまさか総連に電話して新潟に万景峰号関連の施設はありますか、住所を教えてくださいと聞いたのだろうか。 
そう考えれば、このタイミングいい「右翼からの手紙」がどうも怪しい。
総連の自作自演で、親しい朝日が協力した「やらせ構図」が見えてくる。 

30年前、朝日の阪神支局を赤報隊が襲って記者2人を殺傷した事件があった。
朝日の偏向に怒った右翼の犯行とされた。 
しかし本当の右翼、例えば野村秋介河野一郎邸を焼いたときも家人を避難させてから火を放ち、逃げも隠れもしなかった。 
右翼は卑怯な闇討ちはしない。
いや街宣で騒ぐ右翼だっていると朝日は言うが、その大方は日本人ではない。
日本人もまして日本人右翼も騒音は好まない。 
野村秋介は最後に朝日新聞社長の中江利忠に抗議に行った。
中江は植村隆と吉見義明の嘘を書かせ、日本を貶めた張本人だ。 
そんな卑劣漢を前に野村は終始、穏やかな口調で憂国を語り、中江を諭し、そして自決した。
中江は吉田清治の嘘がバレだとき朝日の人間としては珍しく素直に詫びた。
少しは真人間になった。

そう見ると阪神支局襲撃は卑劣さ、陰湿さから見て「右翼の犯行」に疑問符がつく。
では誰が何のためにやったか。 
マッカーサー昭和天皇の誕生日にA級戦犯を起訴し、皇太子だった平成上皇の誕生日に処刑した。
「日本国の処刑」に当たるマッカーサー憲法草案は2月22日のワシントンの誕生日に閣議決定させ、明治天皇の誕生日に公布させた。
6か月後の5月3日に発布になるが、この日だけは何の因縁の日でもない。 
護憲の朝日は前から5月3日を「日本の処刑の日]にしたかった。
その日に軍国主義と残忍・日本を髣髴させる記念すべき悪行が起きてほしいと祈念してきた。 
そしたらその思いそのままに赤報隊が5月3日に護憲の朝日を襲った。
以来、朝日は毎年、亡くなった小尻記者をだしに憲法の日に過去の日本を罵り、呪う紙面を作り続けた。 

朝日が念ずる日本の無力化は米国も支那も韓国も、そして暗殺好きの北朝鮮も心から望んでいる。
朝日の思いを忖度し、あるいは相談して協力した可能性は捨てきれない。 
それを指摘した一人が国松孝次警察庁長官だった。
彼は「右翼の犯行と限定せずに捜査する」と言った。
途端に狙撃され、そっちの方の捜査は止まった。
朝日が思う通りになった。 
物事は多くの場合、見かけとは違う。
トランプのシリア攻撃だってそうだ。
彼は毒ガスの悲惨さに怒り、正義のミサイルを撃った。
が、その米国こそが実は毒ガス兵器マニアなのだ。
第一次大戦でも米国参戦で毒ガス使用量は百倍に跳ね上がった。
各国は毒ガス兵器の禁止を申し合わせたが、米国は第二次大戦でもイペリットを欧州戦線に持ち込み、漏出事故を起こし米兵83人が死んでいる。 
さらにイ・イ戦争でも米国はイラクサリンを含む毒ガス弾の製造プラントを供与(「ニューヨーク・タイムズ」)した毒ガスの王だ。 
シリアの反アサド陣営は過去、イラクに埋まっていたこの米国製毒ガス弾を使っていたという報道は多い。
トランプが政権維持を認めたアサドがわざわざ危険を冒してまで毒ガスを使う理由は何もない。
誰かの意図による自作自演の可能性は高い。 
こういうときはその国々が過去どんな振る舞いをしたか、そしてその事件でcui bono(誰が儲かるか)を考えると見えないものも見えてくる。
本書は「正論」巻頭のコラムをまとめたものだが、見かけの後ろにある「意図」を見抜く手伝いができれば幸せだ。                                     高山正之

2023/12/6 in Kyoto